アウトサイドラインの全景です。
下から見上げるとこんな感じです。
レッドラインです。
ランゲージラインは、来場者を公園から森へ導き、オブザーバトリーへと導きます。
オブザーバトリーは、人々が集うピクニック広場。ここから魚津市を一望できます。
アウトサイドライン/観察する観察の場
ここに完成したアウトサイドラインは多くの要素から構成され、そのすべてが魚津という街の美に神秘的に向かい合うような視覚のラインを提案している。ものと場、視覚と精神の間を概念的に地形の上でつなぎ、その関係性を正確に組み上げたグリッドに位置づけている。
1.レッドラインは、方向性のライン。水平面で直線を保ちつつ、垂直性を寸断するモメントを増し、やがて擬似的な水平線、あるいは日本の空の青色と対峙するシン・レッドラインとなる。このラインの計画へのかかわりには強弱があり、両端で手前にも先にも広がる無限へと開放される。また、これの作用で光と影は絶えず変化して見える一方、ライン自体が季節ごとにまったく異なった様子を見せる。
2.ランゲージラインは、来場者を公園から森へ導き上方のオブザーバトリーのプラットフォームへと導く迂回通路である。黙想の道であり、とちゅうの周辺景観はさまざまな視点からとらえた部分的な断片として、われわれの目に入ってくる。
3.コンパスラインは山々と海の間に、広い視覚を展開するひとつの知覚世界である目に見える現実、想像的現実の双方を黙想させ、フィールド=コンパスを切り開いていく。×字型に交差するフォルムはその中心にオブザーバトリーのプラットフォームの配置点と、その正面を設定する目に見えないラインなのである。
4.ミラージュラインは、コンパスラインによるフィールド=コンパス内に存在する。人々の観察の関心を魚津の街に、過去や未来の想像による魚津という街、しかし潜在する街として、まるで蜃気楼のようにイメージを導いている。
5.オブザーバトリーは、プラットフォーム、迂回通路の終点で、人々が集うピクニックエリアである。この場所を構成する全要素は周囲の景色を眺望できる一段高いところに昇る階段からなる。
アウトサイドラインとは、この地の土着性・山・蜃気楼・海といった図像的、空間的、建築的なものの凝縮である。いいかえれば、人がつくるものと自然のフォルムを結ぶ哲学のライン。観察されるのではなく観察する、擬人化されたライン。言語に表せない事象を括る円のラインなのである。
(ダニエル・リベスキント/訳:西村 和子)新建築・1999・74・11号引用
基本設計:ダニエル.リベスキンド
実施設計:建築科学研究所
施工:朝野工業
敷地
所在地:富山県魚津市出字桃山地内
敷地面積:3,390,000 m2
建築面積:64.80 m2
延床面積:748.22 m2
レッドライン
工作物種別:モニュメント
全長:90.90 m
最高高さ:地盤面より19.0 m
構造:鉄骨造
ランゲージライン
工作物の種別:遊歩道
高低差:30 m
標高:212 m ? 242 m
全長:274 m